建設業の将来性を数字で見る|建設投資81兆円・インフラ更新・海外受注2.9兆円。足りないのは人です

この記事の要点(3行)
①2026年度の建設投資は81兆4,700億円の見通し。インフラの更新はこれから本格化し、海外受注は3年連続で過去最高です。仕事は増えています。
②一方で、建設業の就業者は477万人。1997年から約3割減り、55歳以上が36.7%を占めます。足りないのは人です。
③仕事が増え、人が減る時代には、選ばれる会社であることが、そのまま仕事の量になります。建設業許可は、その入口です。

「建設業は、これから厳しくなる」。そう言われることがあります。けれども、国や業界団体が公表している数字を並べてみると、見えてくるのは別の姿です。

仕事は増えている。足りないのは、人である。

この記事では、建設投資、インフラの老朽化、海外受注、人手不足の数字を順に確認したうえで、そのなかで建設業許可を取ることにどんな意味があるのかを考えます。

建設投資は81兆円を超え、いまも増え続けています

国土交通省は、毎年「建設投資見通し」を公表しています。2026年8月31日に公表された最新の見通しは、次のとおりです。

年度建設投資(名目)前年度比
2023年度(実績)71兆8,547億円―
2024年度(見込み)74兆1,700億円+3.2%
2025年度(見込み)79兆1,800億円+6.8%
2026年度(見通し)81兆4,700億円+2.9%

出典:国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」(令和8年8月31日公表)

内訳は、政府投資が26兆6,000億円、民間投資が54兆8,700億円です。民間の非住宅建設投資は前年度から6.6%増えています。工場、物流施設、データセンター。公共工事だけでなく、民間の需要が建設投資を押し上げています。

2015年度からは建物の改装・改修の投資も含めて集計されていますが、それを除いても2026年度は約64兆円です。2007年度の約48兆円を大きく上回っています。

高度成長期のインフラが、一斉に「50歳」を迎えます

日本の道路・橋・トンネル・上下水道の多くは、高度成長期に集中して造られました。それらが、これから一斉に建設後50年を超えていきます。

施設2023年3月2030年3月2040年3月
道路橋約37%約54%約75%
トンネル約25%約35%約52%
河川管理施設約22%約42%約65%
水道管路約9%約21%約41%
下水道管渠約7%約16%約34%
港湾施設約27%約44%約68%

出典:国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」(建設後50年以上経過する社会資本の割合。建設年度不明の施設を除いて算出)

2040年には、道路橋の4本に3本が建設後50年を超えます。点検し、補修し、架け替える。この仕事は、景気に左右されにくく、しかも止めることができません。インフラの入れ替えは、これから何十年も続きます。

日本の建設会社の海外受注は、3年連続で過去最高です

国内だけではありません。一般社団法人海外建設協会の会員企業による海外建設受注は、2025年度に2兆9,349億円となり、前年度から13.4%増えて3年連続で過去最高を更新しました。2024年度は2兆5,808億円で、最大の市場はアジアでした。シンガポールの港湾や鉄道、台湾の地下鉄や発電所。日本の施工技術が、海外の大型案件で選ばれています。

出典:一般社団法人海外建設協会「海外建設受注実績」(2025年度分は2026年6月19日発表)

いまは大手ゼネコンが中心ですが、技術を持つ専門工事業者が、元請とともに海外の現場に出ていく機会も増えていくと考えています。国際的に仕事をする建設会社は、これからもっと出てくるはずです。

それなのに、人は3割減りました

仕事が増える一方で、働く人は減り続けています。

建設業全産業
就業者数(2024年)477万人(1997年は685万人)―
55歳以上の割合36.7%32.4%
29歳以下の割合11.7%16.9%

出典:国土交通省(総務省「労働力調査」をもとに作成)

ピークだった1997年から、約200万人、およそ3割が減りました。そして今いる人の3人に1人以上が55歳以上です。10年後、この人たちの多くは現場を離れます。

さらに、2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。一人が長く働いて埋めることも、もうできません。

建設業の許可業者数は、2026年3月末で48万3,823業者。3年連続でわずかに増えていますが、ピークだった2000年3月末の60万980業者からは約11万7,000減っています。仕事は増え、担い手は減る。これが、いまの建設業の姿です。

出典:国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について」(令和8年5月15日公表)

許可は、選ばれる会社になるための入口です

仕事が増え、人が減る時代には、元請企業も発注者も「任せられる会社」を選びます。建設業許可は、その最初の条件です。当事務所は、許可の新規申請から、毎年の決算変更届、5年ごとの更新まで、同じ担当者がお引き受けします。

建設業許可の申請代理(新規・更新・決算変更届)を見る →

AIに置き換えられない仕事が、これから一番貴重になります

ここからは、私の考えです。

AIは、文章を書き、図面を読み、見積りを作るようになりました。事務の仕事や、画面の中で完結する仕事は、これから大きく姿を変えていくと思います。

けれども、現場は毎回違います。同じ図面でも、地盤が違う。天気が違う。隣の家との距離が違う。朝の気温が違う。そのなかで、段取りを組み、人と声をかけ合い、手を動かして形にする。この仕事は、置き換えがもっとも難しい領域だと私は考えています。

だからこそ、ブルーカラーの仕事、職人の仕事は、これからさらに貴重になっていきます。人が少なくなるほど、腕のある人と、その人たちを抱える会社の価値は上がります。

現場の環境は、厳しくなっています。だから守る仕組みが要ります

一方で、現場の環境は年々厳しくなっています。職場の熱中症による死傷者は、2025年に1,803人。前年から約43%増え、統計を取り始めた2005年以降で最多になりました。2025年の夏(6〜8月)は、平均気温が平年より2.36℃高く、観測史上最高でした。

死亡者19人のうち、建設業が5人で最も多くなっています。2021年から2025年の5年間で見ると、熱中症で亡くなった131人のうち52人、約4割が建設業です。

出典:厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」

こうした状況を受けて、2025年6月1日から、熱中症対策が事業者の義務になりました。WBGT28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行う作業について、次の2つが求められます(労働安全衛生規則第612条の2)。

  • 熱中症の症状がある人、そのおそれがある人を見つけた人が報告する体制を整え、作業者に周知すること
  • 作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送など、重症化を防ぐ手順を作り、作業者に周知すること

2025年の死亡者は前年の31人から19人に減りました。厚生労働省は、この義務化によって重症化を防ぐ対策が進み、死亡災害の防止が一定程度図られたと考えられる、としています。仕組みを作れば、人は守れるということです。

熱中症は、その日だけの問題ではありません

熱中症というと、その日の暑さと、その日の水分の話になりがちです。けれども厚生労働省が2026年3月18日に定めた「職場における熱中症防止対策のためのガイドライン」は、こう書いています。

熱中症の発症者については、当日又は前日に、睡眠不足、食欲低下、下痢や感冒様症状、全身倦怠感などの比較的軽微な体調変化が先行し、それが暑熱ばく露と重なることで急激に重症化する例が多い

厚生労働省「職場における熱中症防止対策のためのガイドライン」(令和8年3月18日 基発0318第1号)

同じガイドラインは、睡眠不足、体調不良、前日等の飲酒、朝食の未摂取が熱中症の発症に影響するとして、日常の健康管理を求めています。さらに、退勤後に体調が悪化しうることへの注意喚起も、事業者のやるべきこととして挙げています。

暑さに体を慣らす「暑熱順化」には7日以上かかり、夏季休暇などで暑さから4日離れると失われ始め、3〜4週間で完全に失われるとされています。

つまり熱中症は、ひと夏を通して、毎日の積み重ねで防ぐものです。現場の毎日は、体にも内臓にも疲れをためていきます。その日の対策だけでは足りず、仕事が終わってから翌朝までの過ごし方まで含めて考える必要があります。

現場では冷やす。現場が終わったら、筋肉を冷やして、内臓は温める

ここからは、消防士・救急救命士としての経験からの私の考えです。

  1. 現場では、冷たい飲み物でよい。水分と塩分を、作業の前後と作業中に定期的にとる。ガイドラインも、休憩場所にアイススラリー(流動性の氷状飲料)や冷たいおしぼりを置くことを挙げています
  2. 現場が終わったら、体の中から冷やすのはやめる。ほてりが残る体は、水風呂やシャワーで外から筋肉を冷やす
  3. そのあとは、消化にやさしい温かい食事で栄養をとる。暑いからと冷たい食べ物ばかりにすると、疲れた内臓をさらに冷やし、食欲も落ちていきます
  4. そして、眠る。睡眠不足は、翌日の熱中症の入口です

熱中症を疑ったときの冷やし方、なりやすさの個人差、建設業の死亡事例は、建設現場の熱中症対策で詳しく解説しています。

冷たい飲み物が悪いのではありません。冷やす時間と、回復させる時間を分けるということです。これは会社が朝礼で一度伝えるだけでも変わります。人が貴重になる時代は、人を守れる会社が選ばれる時代でもあります。

仕事が増え、人が減る時代に、建設業許可を取る意味

ここまでの数字を、許可の話に戻します。

いま起きていること許可との関係
建設投資が増え、資材と人件費が上がっている同じ工事でも500万円を超えやすくなる。許可がないと受けられない工事が増える
インフラの更新が続く公共工事に参加するには、許可と経営事項審査が前提になる
元請が協力会社を選ぶ金額にかかわらず許可を条件にする元請がある
人が減り、採用が難しくなる許可と社会保険の加入は、働く人から見た信用にもなる

許可は、取った瞬間に売上が増える魔法ではありません。けれども、来た仕事を断らずに済むようにし、選ばれる側に立つための条件です。そして、担い手が減るほど、その条件の重みは増していきます。

【現場からのひとこと】日本の建設業は、世界一だと思っています

私の実家は、父の代まで3代続いた土木・建設業でした。10代の頃から現場で父を手伝い、重機にも乗っていました。

真夏の現場は、朝8時にはもう照り返しで息が詰まります。ヘルメットの中は汗で、水を飲んでも飲んでも追いつかない。真冬の早朝は、手がかじかんで、道具がうまく握れません。道路を止められる時間が決まっている夜間の工事では、ライトの下で、時計とにらみ合いながら作業を進めます。

そのあと私は消防士として20年働きました。熱中症は、消防士と切っても切れません。真夏の火災現場では、防火服を着て、約20kgの装備を身につけて活動します。そのための訓練も、真夏に繰り返します。救急救命士として、熱中症の対策と、重くなったときに体の中で何が起きるかも学んできました。

いまは行政書士として、そして一級土木施工管理技士補として、2026年の二次検定に臨んでいます。

建設業界を長年見てきた今、あらためて思います。日本の建設業は、世界一です。工期を守る。品質を守る。安全を守る。当たり前のようにそれをやり遂げる現場は、世界を見てもそう多くありません。大昔ですがハワイの建設工事の契約では工期の規定がありませんでした。理由を聞けば、「工期を記載すると責任が生じるから、そんなことしたら誰も工事を請け負わない。」と返答されたそうです。海外で日本の会社が選ばれ続けているのは、その証拠だと思います。

その現場を支える人たちが、書類のことで仕事の幅を狭められるのは、もったいないことです。許可のこと、毎年の届出のことは、現場を知っている行政書士に任せてください。

よくあるご質問

Q. 建設業は、これから仕事が減っていく業界ではないのですか?
A. 数字は逆を示しています。国土交通省の見通しでは、2026年度の建設投資は81兆4,700億円で、前年度から2.9%増えています。道路橋やトンネルなど、高度成長期に造られたインフラの更新も、これから本格化します。

Q. 人手不足は、どれくらい深刻ですか?
A. 建設業の就業者は2024年で477万人です。1997年の685万人から、約3割減りました。55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下は11.7%にとどまっています(全産業では32.4%と16.9%)。

Q. AIやロボットで、現場の仕事はなくなりませんか?
A. 設計・積算・施工管理の一部は、確実に効率化が進んでいます。けれども、毎回条件の違う現場で、天候や地盤や人と向き合いながら手を動かす仕事は、置き換えがもっとも難しい領域だと私は考えています。

Q. 小さな会社でも、許可を取る意味はありますか?
A. あります。資材と人件費が上がり、同じ工事でも請負金額が500万円を超えやすくなっています。また元請企業のなかには、金額にかかわらず協力会社に許可を求めるところもあります。許可は、受けられる仕事の幅と、取引先からの信用の両方に関わります。

Q. 熱中症対策は、法律で義務になったのですか?
A. はい。2025年6月1日から、WBGT28度以上または気温31度以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超えて行う作業について、報告体制の整備と、重症化を防ぐ手順の作成・周知が事業者に義務づけられました(労働安全衛生規則第612条の2)。

Q. 熱中症対策は、作業中だけ気をつければよいですか?
A. 作業中だけでは足りないと考えています。厚生労働省のガイドライン(2026年3月)は、前日からの睡眠不足や食欲低下などが先行して重症化する例が多いこと、退勤後に体調が悪化しうることを挙げています。現場では冷たい飲み物で体を冷やし、現場が終わったら水風呂などで外から筋肉を冷やして、温かく消化にやさしい食事と睡眠で回復させる。ひと夏を通した対策が必要です。

まとめ

  • 2026年度の建設投資は81兆4,700億円(前年度比+2.9%)。民間の非住宅投資が伸びている
  • 2040年には道路橋の約75%が建設後50年を超える。インフラの更新は何十年も続く
  • 海外受注は2025年度2兆9,349億円で3年連続の過去最高
  • 就業者は477万人(1997年比で約3割減)。55歳以上が36.7%
  • 熱中症の死傷者は2025年に1,803人で過去最多。死亡者は建設業が最多。対策は2025年6月から義務
  • 熱中症はその日だけの問題ではない。睡眠・食事・退勤後の過ごし方まで、ひと夏を通して防ぐ
  • 仕事が増え人が減る時代に、許可は断らずに済み、選ばれる側に立つための条件

許可を取るための要件は建設業許可の5つの要件に、許可が必要になる金額の数え方は建設業許可は500万円からにまとめています。

現場を知っている行政書士が、書類をお引き受けします。

大阪府知事許可の新規申請、5年ごとの更新、毎年の決算変更届を代理します。要件の診断から、許可を取ったあとの期限の管理まで。新規110,000円〜・更新80,000円〜・決算変更届30,000円〜(税別)です。

👉 料金とサービス内容を見る / 初回相談は無料です

この記事の根拠資料

本記事の記述は、次の資料に基づいています。数値や条項を実務でお使いになる際は、原文をご確認ください。

  • 国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」(令和8年8月31日)
  • 国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」(インフラメンテナンス情報)
  • 一般社団法人海外建設協会「海外建設受注実績」(2024年度・2025年度)
  • 国土交通省「建設業を巡る現状と課題」(総務省「労働力調査」をもとに作成)
  • 国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について」(令和8年5月15日)
  • 厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
  • 厚生労働省「職場における熱中症防止対策のためのガイドライン」(令和8年3月18日 基発0318第1号)
  • 労働安全衛生規則 第612条の2(令和7年6月1日施行)
  • 労働基準法 第139条(建設の事業における時間外労働の上限規制の適用、2024年4月1日)

本記事のうち「AIに置き換えられない仕事」「日本の建設業は世界一」の各節と、熱中症の「現場が終わったら、筋肉を冷やして、内臓は温める」の項は、筆者の考えを述べたものです。持病のある方、塩分制限のある方は、主治医にご相談ください。

関連記事

建設現場の熱中症対策|元消防士・救急救命士が解説する冷やし方と個人差 — 休ませるだけでは冷えません。死亡事例の共通点と、ひと夏を通した予防です。

建設業許可の5つの要件|大阪府の手引きで確認する — 経営経験・営業所技術者・財産的基礎。何を、どの書類で証明するかです。

建設業許可は500万円から|税込・材料支給・分割契約 — 許可がなくても請け負える工事の範囲と、判断を誤りやすい3つの点です。

建設業の決算変更届|4か月以内の期限と必要書類 — 毎年の届出が、5年後の更新の前提になる理由です。

建設業許可の更新|5年の期限と、失効させないための確認 — 満了日の3か月前から30日前まで。更新の前に確かめることです。

建設業許可とは|いつ・だれが取るべきか【総論】 — 500万円のルール、許可の種類、29の業種まで、全体像をまとめました。

建設業許可の新規・更新・決算変更届|大阪府知事許可の申請代理 — 当事務所のサービス内容と料金です。