建設業許可は500万円から|税込・材料支給・分割契約で変わる「許可が要る工事」の判断

この記事の要点(3行)
①建設業許可が必要になるのは、1件の請負代金が500万円(消費税込み)以上の工事です。建築一式工事は1,500万円以上、ただし延べ150㎡未満の木造住宅は除きます。
②判断を誤りやすいのは3つ。税込みで数える/注文者支給の材料費を足す/正当な理由のない分割は合算。
③資材も人件費も上がっています。いまは500万円に届かない工事も、数年後に500万円を越えてくる可能性は高いです。

建設業は、許可がなくても始められます。許可が必要になるのは、一定の金額以上の工事を請け負うときです。

その線が「500万円」です。けれども、この500万円には数え方の決まりがあります。見積書の金額だけを見て判断すると、知らないうちに線を越えていることがあります。

この記事では、許可がなくても請け負える工事の範囲と、判断を誤りやすい3つの点を、大阪府「建設業許可の手引き」(令和8年3月版)に沿って整理します。

許可がなくても請け負えるのは、「軽微な建設工事」だけです

建設業法は、次の工事を「軽微な建設工事」と呼び、これだけを請け負う場合は許可を必要としないとしています。

工事の区分許可がなくても請け負える範囲(消費税込み)
建築一式工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積が150㎡未満の木造住宅の工事
建築一式工事以外(26の専門工事と土木一式)1件500万円未満の工事

出典:建設業法第3条第1項ただし書、建設業法施行令第1条の2、大阪府「建設業許可の手引き」第1章(令和8年3月)

「木造住宅」は、主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を住まいに使うものを指します。店舗併用住宅も、この条件を満たせば含まれます。

逆にいえば、1件でもこの範囲を超える工事を請け負うなら、許可が必要です。年間の売上が小さいかどうかは関係ありません。元請か下請か、公共か民間かも問いません。

判断を誤りやすいのは、3つの点です

1.500万円は「消費税込み」で数えます

見積書を税抜きで作っていると、ここで間違えます。税抜き470万円の工事は、税込み517万円です。許可が必要になります。

逆算すると、税率10%の場合、税抜き454万5,454円以下でなければ500万円未満に収まりません。

2.注文者が用意した材料の代金も、足して数えます

注文者が材料を支給する場合、請負代金には材料費が入っていません。けれども許可の判断では、その材料の市場価格と運送費を、請負代金に加えた額で数えます。

金額(税込み)
請負代金(工賃のみ)380万円
注文者が支給した材料の市場価格130万円
運送費5万円
判断に使う金額380+130+5=515万円 → 許可が必要

契約書の金額が380万円でも、許可が必要になる例です。

3.正当な理由なく契約を分けても、合計で数えます

1つの工事を2つ以上の契約に分けて請け負った場合、正当な理由に基づいて分割したときを除き、各契約の合計額で判断します。

600万円の工事を300万円ずつ2本の契約にしても、同じ工事であれば600万円の工事です。一方で、工期や工区が実際に分かれていて、別々の工事として発注されているなら、それぞれで判断されます。分けた理由を説明できるかどうかが分かれ目です。

「この工事は許可が要るか」から、ご相談ください

請負金額の数え方、業種の当てはめ、許可を取るまでの期間。次の工事の見積りを出す前に確認しておくと、断らずに済む工事が増えます。要件を満たしているかどうかの診断から、お引き受けします。

建設業許可の申請代理(新規・更新・決算変更届)を見る →

許可が不要でも、別の登録が必要な工事があります

500万円未満だから何の手続きもいらない、とは限りません。工事の種類によっては、建設業許可とは別の法律で登録が求められます。

工事必要な手続き根拠
解体工事建設業許可(土木・建築・解体工事業)がない場合、金額にかかわらず解体工事業の登録建設リサイクル法第21条
電気工事一般用電気工作物等の電気工事を行う場合、電気工事業の登録(建設業許可業者は「みなし登録電気工事業者」としての届出)電気工事業法第3条・第34条

建設業許可を取れば済む手続きもあれば、許可を取っても別に届出が要るものもあります。自社の工事にどれが当てはまるかは、業種と工事の内容で確認します。

無許可で500万円以上の工事を請け負うと、5年間許可が取れなくなります

許可がないまま軽微な建設工事を超える工事を請け負うと、建設業法違反です。3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります(建設業法第47条)。法人には、1億円以下の罰金が科されることがあります(同第53条)。

そして、この違反で罰金刑を受けると、その後5年間は建設業許可を受けられません(同第8条)。許可を取ろうとしたときに、欠格要件に当たってしまうということです。

「知らなかった」では済まない理由は、ここにあります。金額の数え方を一度だけ確かめておけば、避けられることです。

資材も人件費も上がっています。500万円は、年々近づいてきます

同じ規模の工事でも、資材と労務費が上がれば、請負金額は上がります。以前は400万円で収まっていた工事が、いまは500万円を超える。そういうことが起きています。

国土交通省によると、2026年度の建設投資は81兆4,700億円の見通しで、前年度から2.9%増えています。仕事の量が増え、単価も上がる。その流れのなかで、許可を持っていないことが、受けられる工事の上限になってしまう場面が増えていきます。

元請企業のなかには、金額にかかわらず、協力会社に許可を求めるところもあります。許可は「500万円以上の工事を請け負うための資格」であると同時に、取引先から選ばれるための条件にもなっています。

出典:国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」(令和8年8月31日公表)

【現場からのひとこと】許可は、現場の人の仕事の幅を守るものです

私の実家は、父の代まで3代続いた土木・建設業でした。10代の頃から、真夏の照り返しのなかで、真冬の早朝の冷え込みのなかで、そして夜間の工事で、現場を手伝ってきました。いまは行政書士として建設業の許可に携わりながら、一級土木施工管理技士補として、2026年の二次検定に臨んでいます。

現場の人は、頼まれた仕事を断るのが苦手です。「できる仕事」を「金額が大きいから」という理由で断るのは、本当に悔しいことだと思います。

許可は、その悔しさをなくすためのものです。取るまでに時間はかかりますが、一度取れば、腕に見合った仕事を受けられるようになります。書類のことは、どうぞ任せてください。

よくあるご質問

Q. 500万円は税抜きですか、税込みですか?
A. 消費税込みです。税抜き470万円の工事は、税込み517万円になるため許可が必要です。

Q. 注文者が材料を用意してくれる場合、材料費は含めますか?
A. 含めます。注文者が材料を提供する場合は、その市場価格と運送費を請負代金に加えた額で判断します。

Q. 工事を2つの契約に分ければ、許可はいりませんか?
A. 正当な理由なく分割した場合は、各契約の合計額で判断されます。工期や工区が実際に分かれているなど、分けることに正当な理由があるかどうかがポイントです。

Q. 下請の工事でも許可は必要ですか?
A. 必要です。建設業許可は、元請・下請、公共工事・民間工事を問わず、1件の請負金額で判断します。

Q. 500万円未満の解体工事なら、何の手続きもいりませんか?
A. 建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業)を持たずに解体工事を請け負う場合は、金額にかかわらず、都道府県への解体工事業の登録が必要です(建設リサイクル法第21条)。

Q. 許可がないまま500万円以上の工事を請け負うと、どうなりますか?
A. 建設業法違反として、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります(建設業法第47条)。罰金刑を受けると、その後5年間は許可を受けられなくなります(同第8条)。

まとめ

  • 許可が要るのは、1件500万円(税込み)以上の工事。建築一式は1,500万円以上(延べ150㎡未満の木造住宅を除く)
  • 税込みで数える。税抜きなら454万5,454円以下でないと収まらない
  • 注文者支給の材料は、市場価格と運送費を足して数える
  • 正当な理由のない分割は、合計額で数える
  • 解体工事・電気工事は、許可とは別の登録が要ることがある
  • 無許可で請け負い罰金刑を受けると、5年間許可が取れない

許可を取ると決めたら、次は要件です。何を、どの書類で証明するのかは建設業許可の5つの要件で整理しています。

現場を知っている行政書士が、書類をお引き受けします。

大阪府知事許可の新規申請、5年ごとの更新、毎年の決算変更届を代理します。要件の診断から、許可を取ったあとの期限の管理まで。新規110,000円〜・更新80,000円〜・決算変更届30,000円〜(税別)です。

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この記事の根拠資料

本記事の記述は、次の資料に基づいています。数値や条項を実務でお使いになる際は、原文をご確認ください。

  • 建設業法(昭和24年法律第100号)第3条・第8条・第47条・第53条
  • 建設業法施行令(昭和31年政令第273号)第1条の2
  • 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)第21条
  • 電気工事業の業務の適正化に関する法律 第3条・第34条
  • 大阪府「建設業許可の手引き」(令和8年3月改定)第1章
  • 国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し」(令和8年8月31日)

本記事は制度の概要を整理したものです。個別の判断は、大阪府の建設業許可の窓口にご確認ください。

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