建設業許可の5つの要件|大阪府の手引きで確認する経営経験・営業所技術者・財産的基礎

この記事の要点(3行)
①建設業許可の要件は5つ。経営経験・営業所技術者・財産的基礎・誠実性・欠格要件です。社会保険への加入も求められます。
②難しいのは要件そのものより、それを書類で証明することです。大阪府は「毎年分の代表的な工事」を確認します。
③書類を集め始める前に、何で証明するかを決める。それが、いちばん早く許可にたどり着く順番です。

※ この記事は、大阪府知事許可(一般建設業)を前提にしています。数字と手続きは、大阪府「建設業許可の手引き」(令和8年3月版)に沿って確認しました。

1件500万円(消費税込み)以上の工事を請け負うには、建設業許可が必要です。そして許可を受けるには、法律で決められた要件をすべて満たさなければなりません。

要件の一覧は、どこにでも載っています。けれども、実際に申請の準備を始めると、多くの方が同じところで手が止まります。「経験はある。でも、それをどう証明するのか」というところです。

この記事では、5つの要件を順に整理したうえで、大阪府が何を、どの書類で確認するのかまで踏み込みます。

建設業許可の要件は、5つあります

要件中身(根拠)
①経営業務の管理を適正に行う能力建設業の経営経験が5年以上ある常勤役員等がいること。社会保険への加入もここに含まれる(建設業法第7条第1号、施行規則第7条)
②営業所技術者業種ごとの資格、または実務経験を持つ技術者が、営業所に専任でいること(建設業法第7条第2号)
③財産的基礎自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(建設業法第7条第4号)
④誠実性請負契約で不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと(建設業法第7条第3号)
⑤欠格要件破産者で復権を得ない者、一定の刑罰から5年を経過しない者などに当たらないこと(建設業法第8条)

④と⑤は、多くの事業者にとって「当てはまらないことを確認する」要件です。準備に時間がかかるのは①②③、とくに①と②です。

なお、要件を「7つ」と数える解説もあります。この5つに、①に含まれる社会保険への加入と、営業所があることを別に数えた場合です。中身は同じです。

営業所は、「契約を結ぶ実態のある事務所」であることが前提です

許可は営業所ごとに受けます。大阪府の手引きは、営業所を「本店または支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所」と説明しています。見積り・入札・契約といった実際の営業をしている場所でなければならず、登記上だけの本店や、単なる連絡事務所は営業所に当たりません。自宅を営業所にする場合も、その実態があるかどうかで判断されます。

①経営経験は「5年」を、3つの書類が重なる期間で数えます

法人なら常勤の役員のうち1人が、個人事業なら本人または支配人が、次のいずれかに当たる必要があります。

区分必要な経験
(a1)建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験
(a2)建設業に関し、5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位で(権限の委任を受けて)経営業務を管理した経験
(a3)建設業に関し、6年以上、準ずる地位で経営業務の管理責任者を補佐した経験
ロ役員等の経験(建設業で2年以上など)+ 財務管理・労務管理・業務運営の経験(各5年以上)を持つ人を「直接に補佐する者」として置く

出典:大阪府「建設業許可の手引き」第2章(令和8年3月)、建設業法施行規則第7条第1号

大阪府は、3つの書類が「全部重なる期間」を経験年数と見ます

法人の役員としての経験を証明する場合、大阪府が確認するのは次の3つです。

  1. 営業の実態──確定申告書(別表一・決算報告書)。役員報酬の内訳で、常勤の役員として載っているかも見ます
  2. 営業の実績──工事内容・工事期間・請負金額が分かる契約書・注文書・請求書など
  3. 役員であった期間──履歴事項全部証明書・閉鎖事項全部証明書(発行から3か月以内)

そして、この3つが全部重なる期間が「経験年数」になります。手引きには、平成26年4月に取締役に就任した人について、請求書で確認できたのが平成26年8月からだったため、経験年数は8月から数える、という例が載っています。

工事の実績は「毎年分」、間隔は1年を空けない

ここが、準備でいちばん時間のかかるところです。大阪府は、経験期間のあいだ、毎年分の代表的な工事を確認します。そして、ある年の工事と翌年の工事の間隔が1年以上空かないように求めています。空いた場合は、そのあいだの別の工事で埋めます。

つまり5年の経験を示すには、5年分の契約書や請求書を、切れ目なく並べる必要があります。「5年やってきた」という事実と、「5年を書類で示せる」ことは、別の話です。

社会保険への加入も、この要件の一部です

令和2年10月1日から、健康保険・厚生年金保険・雇用保険に適切に加入していることが、許可の要件になりました。大阪府では、確認資料は提示ではなく提出です。添付がないと受け付けてもらえません。

要件の診断から、お引き受けします

経営経験の年数と、技術者の資格・実務経験を伺えば、許可が取れる見込みと、そろえるべき書類をお伝えできます。書類を集め始める前にご相談いただくのが、いちばん手戻りの少ない進め方です。

建設業許可の申請代理(新規・更新・決算変更届)を見る →

②営業所技術者は、資格がなくても「実務経験10年」でなれます

令和6年12月13日から、「専任技術者」は「営業所技術者」という呼び方に変わりました。求められる中身は変わっていません。許可を受ける業種ごとに、次のいずれかに当たる人が営業所に専任でいる必要があります。

ルート必要な経験
国家資格など業種ごとに定められた資格(1級・2級の施工管理技士、技能士など)
指定学科+実務経験高校(指定学科)卒業後5年以上/大学・高専(指定学科)卒業後3年以上
実務経験のみ許可を受けようとする業種について10年以上
技術検定+実務経験一級の第一次検定合格後3年以上/二級の第一次検定合格後5年以上(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園・電気通信の各工事業を除く)

出典:大阪府「建設業許可の手引き」第2章(令和8年3月)

実務経験で証明する場合も、考え方は経営経験と同じです。各年の代表的な工事を、契約書や請求書で示します。さらに、その会社に在籍していたことを、年金の被保険者記録照会回答票などで示します。

なお、経営経験の要件を満たす人が営業所技術者の要件も満たしていれば、同じ営業所で1人が兼ねることができます。社長が一人で両方を担っている会社は、この形です。

③財産的基礎は、3つのうち1つを満たせば足ります

方法中身と確認書類
①自己資本直前の決算で自己資本が500万円以上。財務諸表・確定申告書で確認
②調達能力500万円以上の預金残高証明書(残高日が申請日前4週間以内)
③営業実績許可を受けて5年間、継続して営業した実績(更新の場合)

決算の数字が500万円に届かなくても、申請のタイミングで口座に500万円以上あれば、残高証明書で要件を満たせます。残高日は申請日前4週間以内なので、申請日から逆算して取ります。

④誠実性と⑤欠格要件は、役員全員について確認します

誠実性は、請負契約について不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと。欠格要件は、破産者で復権を得ない者、許可を取り消されてから5年を経過しない者、一定の刑罰を受けてから5年を経過しない者などに当たらないことです。

どちらも、法人の場合は役員全員が対象です。役員の中に一人でも当たる人がいれば、許可は受けられません。申請の前に、役員の方それぞれに確認します。

書類を集める前に、証明の方法を決めてください

ここまで見てきたとおり、要件の多くは「年数」を「書類」で示すことで成り立っています。そして大阪府は、その年数を、書類が重なる期間、切れ目のない期間で数えます。

だから順番が大切になります。

  1. 経歴を年表にする──いつ、どの会社で、どの立場で、どの業種の工事をしてきたか
  2. 年ごとに、使える書類を当てはめる──確定申告書、登記簿、契約書・請求書、年金記録
  3. 空いている年を見つけて、埋める方法を考える──取引先の控え、通帳の入金記録など
  4. そのうえで、書類を取り寄せる

この順番を逆にすると、集めたあとで「この年が証明できない」と分かり、やり直しになります。

大阪府には、申請前に書類を確認してもらえる事前チェックサービスがあり、書類が届いてから概ね10日程度で完了通知が送られます。新規申請の手数料は9万円です。

【現場からのひとこと】現場の人ほど、書類は後回しになります

私の実家は、父の代まで3代続いた土木・建設業でした。10代の頃から現場を手伝い、重機にも乗っていました。

真夏の現場は、朝から照り返しで息が詰まります。真冬の早朝は、手がかじかんで道具がうまく握れません。夜間の工事は、交通を止められる時間が決まっているので、時計とにらみ合いです。そういう一日を終えて家に帰ったあと、建設業記許可のための請求書の控えを年ごとに整理する。というのは簡単なことではありません。

だから、「経験はあるのに、書類がそろわない」というのは、現場の仕事を真剣にやってきた人ほど起きやすいことです。

書類のことは、書類の専門家に任せてください。残っているものを一緒に並べて、どの年をどの書類で示すかを決める。そこから先は、こちらの仕事です。

よくあるご質問

Q. 経営経験が4年しかありません。許可は取れませんか?
A. 常勤役員等としての経験が5年に届かない場合でも、経営業務を補佐した経験(6年以上)や、財務・労務・業務運営の経験を持つ人を「直接に補佐する者」として置く方法(建設業法施行規則第7条第1号ロ)があります。どの組み合わせが使えるかは、経歴を伺って判断します。

Q. 昔の請求書が残っていません。実務経験は証明できませんか?
A. 大阪府は、各年の代表的な工事を契約書・注文書・請求書などで確認します。手元に残っていない年があっても、取引先の控えや通帳の入金記録で補える場合があります。まず、残っているものを年ごとに並べるところから始めます。

Q. 資格がなくても、営業所技術者になれますか?
A. なれます。許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があれば、資格がなくても営業所技術者になれます。指定学科の卒業者は、高校卒業後5年以上・大学卒業後3年以上に短縮されます。

Q. 一級の第一次検定に合格しました(技士補)。営業所技術者になれますか?
A. 一級の第一次検定に合格した後、3年以上の実務経験があれば、営業所技術者として認められる業種があります。ただし土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業・電気通信工事業は対象外です。業種ごとに確認が必要です。

Q. 自己資本が500万円に届きません。
A. 申請日前4週間以内の預金残高証明書で500万円以上を示す方法もあります。決算の数字が届かなくても、申請のタイミングに合わせて資金を用意できれば要件を満たせます。

Q. 役員が退職したら、許可はどうなりますか?
A. 常勤役員等や営業所技術者が欠けて、代わりの人がいない状態が1日でも生じると、許可は失効します。交代の変更届は14日以内です。退職の予定が分かった時点で、後任の要件を確認しておくことが大切です。

まとめ

  • 建設業許可の要件は5つ。準備に時間がかかるのは経営経験・営業所技術者・財産的基礎
  • 経営経験は、確定申告書・工事の書類・登記簿の3つが重なる期間で数える
  • 工事の実績は毎年分。間隔を1年以上空けない
  • 資格がなくても、実務経験10年で営業所技術者になれる
  • 自己資本が500万円に届かなくても、申請日前4週間以内の残高証明書で500万円を示せる
  • 書類を集める前に、証明の方法を決める

許可を取ったあとは、毎年の決算変更届と5年ごとの更新が続きます。その流れは建設業の決算変更届と建設業許可の更新で整理しています。

現場を知っている行政書士が、書類をお引き受けします。

大阪府知事許可の新規申請、5年ごとの更新、毎年の決算変更届を代理します。要件の診断から、許可を取ったあとの期限の管理まで。新規110,000円〜・更新80,000円〜・決算変更届30,000円〜(税別)です。

👉 料金とサービス内容を見る / 初回相談は無料です

この記事の根拠資料

本記事の記述は、次の資料に基づいています。数値や条項を実務でお使いになる際は、原文をご確認ください。

  • 建設業法(昭和24年法律第100号)第3条・第7条・第8条
  • 建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第7条
  • 大阪府「建設業許可の手引き」(令和8年3月改定)第1章・第2章・第5章
  • 国土交通省「建設業法等の一部改正」(令和6年12月13日施行、営業所技術者等への名称変更)

本記事は制度の概要を整理したものです。個別の判断は、大阪府の建設業許可の窓口にご確認ください。

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