なぜBCPに投資できる会社は職場環境が良いのか|大谷翔平の「環境戦略」に学ぶ組織づくり

この記事の要点(3行)
・人の能力の差より、身を置く「環境」の差のほうがはるかに大きい。
・大谷翔平は年俸の大半を後払いにし、"勝てる環境"へ自らのリソースを投資した。
・「緊急度は低いが重要度が高い」BCPに投資できる会社ほど、人や仕組みなど様々な環境がよく整っている。

「環境が人を作る」——これは、私が消防組織で20年間働き、行政書士として独立した今も、最も強く確信している真実です。

どれほど優れた才能でも、身を置く環境が間違っていれば、その力は半分も発揮されません。極端な話、イエス・キリストや釈迦のような聖人でさえ、もし争いのない完璧に平和な世界に生まれていたら、あれほどの思想や教えは生まれなかったはずです。偉大な功績も個人の能力だけでなく「その人が置かれた環境との化学反応」で生まれるもの。

人の能力の差など、環境の差に比べれば微々たるものであり、人を変えようとするより環境を変えるほうが大切—これは組織づくりの大原則です。だからこそ経営者は「いかに正しい環境(仕組み)を整えるか」にこそ、もっとフォーカスすべきなのです。

この記事では、いま大谷翔平選手がロサンゼルス・ドジャースで起こしている"環境戦略"を手がかりに、経営者が学ぶべき「強い組織のつくり方」、そしてそれがなぜBCP(事業継続計画)に直結するのかをお話しします。

大谷翔平がドジャースで証明した「環境戦略」とは

大谷選手は10年総額7億ドル(約1000億円)という、プロスポーツ史上最高額の契約を結びました。しかし世界を本当に驚かせたのは金額ではなく、総額の97%を後払いにしたことです。現役中の年俸をわずか200万ドル(控え捕手レベル)に抑えるという前代未聞の選択でした。

補強予算を"創出"する — 未来の勝利への投資

メジャーリーグでは球団毎に選手に対する年棒の総額規制が存在します。大谷選手のような大型契約はチーム全体の年棒制限を圧迫し、他の選手獲得に支障をきたします。彼が現役中の年俸を極限まで削ることで、年俸総額の枠が大きく空きます。そこで生まれた潤沢な補強予算により、球界最高のスター選手たちを次々と獲得できる環境が整いました。

球団に「メリットしかない」経済循環

これほどの巨額契約でも、大谷選手自身がもたらす経済効果は、10年後にはその1000億円を優に埋めると言われます。球団は、大谷選手が稼ぎ出した利益を将来的に彼へ支払うだけ。リスクがなく、メリットしか存在しない完璧な経済循環が成立しているのです。

目先のお金を稼ぐ手段としてではなく、仲間と勝ち、最高の夢を掴むための「環境」をつくる。彼は自らのリソースを投資するという決断をしました。これこそ、経営者が最も学ぶべき意思決定の型です。

強い組織の条件①:風通しの良い環境

もう一つ象徴的なのが、クラブハウスの建て替えです。大谷選手が打撃練習施設の充実を提案すると、球団は約150億円を投じて施設を一から創り変えました。

ここで重要なのは、彼が求めたのが「自分専用の特別な練習場」ではなかったこと。「今いる仲間、そしてこれから入る若手を含め、チーム全員が強くなれる環境」を提案した。よって球団はその言葉に150億円の価値を認めたのです。お互いを高め合える風通しの良さこそ、強い組織の基盤です。

強い組織の条件②:トップが誰よりも「真摯」であること

なぜ球団も周囲のスターも、彼の言葉に動かされるのか。才能があるからだけではありません。外から見ていて感じるのは、彼が誰よりも野球そのものに真摯に向き合い、勝つために自分の利益を後回しにしているからではないか、ということです。

年俸の大半を後払いにし、練習施設もチーム全員のために提案する—その一つひとつの選択が、「自分が」ではなく「チームが勝つために」という姿勢を物語っています。

どれだけ優秀な人材を集めても勝てない組織は、歴史上いくらでもあります。原因の多くは、各自が「俺が、俺が」とエゴを出し、まとまりを失うこと。トップやリーダーが誰よりも自分の仕事(競技・事業)に真摯で、チームのために自分を後回しにする—その姿を見せられれば、周囲もエゴを張りにくくなります。

私が消防組織で20年勤めた経験からも、本当に強いチームをつくる最大の要素は、この「本質を追求するリーダーの真摯さ」だと感じてきました。リーダーが自らの仕事に真摯に向き合う姿こそ、組織を一つにまとめていく力になるのです。

違和感があるなら、自分で「正しい環境」を創ればいい

私が安定した身分を捨てて行政書士として独立した最大の理由も、ここにあります。

組織の中で理想を掲げても、すでに出来上がった巨大な枠組みを個人の力で根本から変えるのには限界があります。個人の能力に依存するより、環境そのものを変えるほうが、社会に与えるインパクトは圧倒的に大きい

今いる環境に違和感があるなら、正しい環境へ身を置くべきです。そして、それが用意されていないなら、自分の手で創ればいい。私は独立により「経営者に寄り添い、迅速に動ける最高の環境」を手に入れました。BCPを通じて保育園の安全を確立し園児の未来と園の未来を守る。私にBCPの策定をご依頼いただく保育園のスタッフは、皆さんが真剣に園児の安全を考えておられることが伝わってきます。次は、私がBCPを通じて世の中の企業の中に、大谷選手がドジャースで作ったような最高の「渦」を実装していく番だと考えています。

BCP(事業継続計画)に投資できる会社ほど、環境が整っていると感じる理由

BCP(事業継続計画)とは
災害・事故・感染症などの緊急事態が起きても、事業を中断させない/最短で復旧させるために、平時から手順・体制・優先順位を定めておく計画のこと。単なる「災害マニュアル」ではなく、組織の意思決定と役割を事前に設計する仕組みです。

私が現在、保育園・福祉施設・建設業などのBCP策定サポートに力を入れているのは、これがまさに「組織における理想の環境づくりそのもの」だと感じているからです。

なぜ「緊急度は低いが重要度が高い」ことに取り組めるのか

BCPは、日々の業務に追われる事業者にとって、決して「今すぐやらなければ倒産する」緊急度の高いものではありません。今日明日やらなくても会社は潰れない。しかし災害大国といわれる日本では、BCPの果たす役割は想像以上に重要です。多様化する災害への対応力、レジリエンス向上は決して軽視できません。大谷選手が目先の年俸を後回しにして未来の勝利へ投資したように、「緊急度は低いが、極めて重要度が高いこと」へ平時から予算とリソースを割ける会社。私がこれまで接してきた範囲では、そうした会社ほど、人・仕組み・文化といった様々な環境がよく整っているように感じます

実際、BCPをご依頼くださる保育園の園長先生やスタッフの皆様は本当に前向きで、経営者と現場が一丸となって未来を良くしようという意識を感じます。「万が一のときでも、大切な日常とスタッフを守り抜く」という高い意識が、普段の職場の雰囲気にもにじみ出ているように思うのです。

BCPは「災害マニュアル」ではなく「最高の環境構築」

BCPを整えることは、単なるマニュアルを作ることではありません。経営者とスタッフが「有事でも絶対に揺るがない強い組織を作る」という共通の夢に向かって一丸となる、環境構築のプロセスそのものです。

まとめ:正しい環境を整え、その先の夢を手繰り寄せる

お金を稼ぎ、日々の業務をこなす。それだけの場所で終わらせず、「このチームだからこそ見られる最高の未来」を一緒に作りませんか。現在のドジャースには他球団からの好条件を断って移籍を希望する選手が増えているそうです。人手不足を解消するヒントがこういった環境作りやチーム作りにあるかもしれません。

違和感のある環境に妥協する必要はありません。正しい環境を整え、チームを強くし、その先の夢を確実に手繰り寄せる。そんな前向きな経営者の皆様を、私は「防災士×行政書士」として全力で手助けします。

よくある質問(FAQ)

Q. BCP(事業継続計画)とは何ですか?
A. 災害・事故・感染症などで事業が中断しても、最短で復旧するために、平時から手順・体制・優先順位を決めておく計画です。避難だけでなく「誰が・何を・どの順で判断するか」を事前に設計します。

Q. なぜ中小企業や保育園にBCPが必要なのですか?
A. 大企業と違い、代替人員や資金の余力が少ないため、有事の初動の遅れが事業存続に直結します。特に子どもや利用者を預かる施設は、社会的責任の面からも策定が強く求められます。

Q. BCPは「緊急度が低い」のに、なぜ今取り組むべきなのですか?
A. 緊急度は低くても重要度が最も高い領域だからです。平時にしか作れず、災害が起きてからでは間に合いません。「重要だが後回しにされがちなこと」に投資できるかが、組織の強さを分けます。

Q. BCP策定は職場環境の改善につながりますか?
A. はい。策定の過程で役割・優先順位・情報共有が整理され、経営者と現場の対話が生まれます。結果として、平時のチームワークや心理的安全性の向上にもつながります。

Q. BCPは誰に相談すればよいですか?
A. 防災の実務知識と、行政手続き・書類作成の両方に精通した専門家が適しています。当事務所は「防災士×行政書士」として、保育園・福祉施設・建設業のBCP策定を伴走支援しています。


この記事を書いた道才竜進(行政書士道才事務所 代表・防災士・救急救命士)のポートレート

この記事を書いた人 — 道才 竜進(どうさい りょうしん)
行政書士道才事務所 代表|行政書士・防災士・救急救命士

消防士として20年間、救急・災害の現場に従事(東日本大震災の対応経験あり)。その実務経験を活かし、行政書士として独立。現在は「防災士×行政書士」として、大阪を拠点に保育園・福祉施設・医療機関(クリニック・歯科)・建設業のBCP(事業継続計画)策定を、施設訪問からリスク評価・策定・訓練・顧問まで伴走型で一貫サポートしています。

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